【感想】ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術(愛知県美術館)の鑑賞レポート
愛知県美術館で開催している「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」へ行ってきたのでご紹介。
今から約50年前に造られた作品なのですが、最近の現代アートを観ているのと同じような感覚になりました。
タイトルに「コンセプチュアル」とあるとおり、特定の意図が込められた作品ばかりなのですが、なかなか意図が読み解けない。
「どういうことなんだろう?」「何で造られているんだろう?」そんなことを思いながらの鑑賞で、僕は、逆にワクワクしてました。
Points of Youと同じように、想像力を試されているような感じがして、面白いと感じました。
この展示会は、写真OKなのですが、個人利用のみなので、写真をお見せすることはできませんが、どんな様子だったかを可能な限りお伝えしていきます。
これから行ってみようかなと思っている人は、ぜひ参考にしてみてください。
鑑賞レポート
雲と結晶/鉛、身体、悲嘆、歌(カール・アンドレ)
1960-70年代美術というタイトルになっていますが、内容はまさに、現代アートそのもの。
この展示会のメイン作品といってもよい「雲と結晶/鉛、身体、悲嘆、歌(カール・アンドレ)」には、特に、現代アートっぽさを感じました。
2組の144個の鉛ブロック。ひと組は、正方形に集合。ひと組は、無秩序に散乱。
僕には、群がることが好きな人々と、個々で活動する人々の待避のように見えて、非常に興味深く感じました。
One Million Years : Future(河原 温)
日時が記された太い辞書のような作品。
過ぎてしまえば、あっという間。
だけど、過ぎるまでは、とてつもなく感じるのが、時間というもの。
時間を大切にする僕的には、どこか重みを感じる作品でした。
無題:タトリンのためのモニュメント(ダン・フレイヴィン)
この作品を観た瞬間に思い出したのは、大阪 国立国際美術館でのクリスチャン・ボルタンスキーの作品でした。
死について、マジマジと感じることになった体験が、この愛知県美術館でも蘇ってきました。
この一つの作品のために仕切られた空間も、そう感じさせてくれた要因でしょう。
細部を見ると、ただの蛍光灯なのですが、全体を見ると、墓跡の前に立っているような感覚になりました。
「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」概要
展示会紹介
ミニマル・アートという言葉は、作家の個性を示すような表現性を捨て去り、幾何学的で単純なかたちの絵画や彫刻を制作した、1960年代アメリカの新しい美術動向の呼称として広まりました。その代表的な作家であるカール・アンドレとダン・フレイヴィンは、自ら手を動かすことをやめ、工業的に生産された金属の板やブロック、既製の蛍光灯などを用いて作品を制作しました。そうした状況のなかで、ソル・ルウィットは物理的な作品よりも、その構成の規則となるコンセプトこそが重要であるとして、コンセプチュアル・アートへの道を開きます。
アートにとって最も重要なのはコンセプトであるとする考え方は、同時多発的に国際的な広がりをもっていました。たとえば、ドイツのハンネ・ダルボーフェンは、数字の計算という思考の過程それ自体を作品として提示し、ニューヨークを拠点とした河原温は、起床時間を記した絵葉書を知人に毎日送り続けました。フランスのダニエル・ビュレンは、場を異化するストライプ模様を街中などのさまざまな場所に設置し、イギリスのギルバート&ジョージは、自らを生きた彫刻とみなし、彼らの日常それ自体がアートであると考えました。
ドロテ&コンラート・フィッシャー夫妻は、1967年にデュッセルドルフにギャラリーを開き、同時代の国際的な動向をいち早く紹介しました。本展では、ノルトライン゠ヴェストファーレン州立美術館の全面的な協力のもと、フィッシャー・ギャラリーが保管していた貴重な作品や資料、ならびに日本国内に所蔵される主要な作品を通じて、全18作家の活動から1960-70年代のミニマル・アートとコンセプチュアル・アートを振り返ります。
基本情報
会場 | 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階) |
住所 | 名古屋市東区東桜一丁目13番2号 |
会期 | 2022年1月22日(土)~3月13日(日) |
時間 | 10:00〜18:00 金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで) |
休館日 | 毎週月曜日 |
観覧料 | 一般 1,400円 高校・大学生 1,100円 中学生以下無料 |
HP | https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000341.html |
まとめ
愛知県美術館で開催している「ミニマル/コンセプチュアル ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術」では、現代アートを味わっているのと同じ感覚になりました。
50年ほど前の作品が鑑賞できるのですが、今でも色褪せることなく、ぼくにメッセージを送ってくれている気がしました。
コンセプトのある作品とのことですが、正直、どんな意図で作られたのかは、よく分かりません。
けれども、充分に、僕の心と頭は、動かされました。
美術展に来ると、こうして感情が揺さぶられるところが、最高に楽しいです。